ラーメンの専門家にオススメラーメンを聞きました!
美麺屋 楽観 [東京]
今回紹介するのは、正真正銘の路地裏に突如として現れた「美麺屋楽観」。お店の場所は西麻布。地図を片手に探索しなければ間違いなく発見することは困難と思われる袋小路の一画。私もアクセスに成功するまで10分以上路地裏を彷徨ったが、その労力を補って余りある神懸かり的な1杯を提供してくれた!ラインナップは、「琥珀ラーメン」という名称が冠せられた醤油ラーメンとそのバリエーションのみ。提供されるラーメンは1度に2杯まで。まさに魂を削るかのような気迫を伴いながら1杯1杯が創られる。私がこの度戴いたのは、基本メニューである「琥珀ラーメン」。スープに用いられる素材は、いわし、カツオ、昆布、たまねぎ、しょうがなどシンプルなものばかりだが、その完成度はチョモランマのように高い!素材の一つひとつが確実に収めるべきところに収まっており、それにカエシと香味油がドッキングする。特に、しょうがの仄かな芳香と香味油の芳醇なコクが奏でる美しい旋律には、まるで落雷を受けたような衝撃が走った。もちろん、麺も非の打ち所なし。意図的に硬めに仕上げられており、ポキポキとした食感が堪らない!サクッと噛み切れる低加水仕様の病み付き系。到底、6月にオープンしたばかりとは思えないほどの出来映えだ。具として用いられた刻み玉ネギの上品な辛味&苦味が、スープをキリッと引き締める。一見、オーソドックスな東京醤油ラーメンのようであるが、その背後には数限りない試行錯誤の跡が隠れているような気がした。この1杯にはラーメンの神様が降臨している。スープを一口啜った瞬間に感動の渦に包まれる至高の名品だ!
大黒食堂 [長野]
今回紹介するのは、長野県千曲市の上山田温泉にひっそりと佇む「大黒食堂」。千曲川の流れに寄り添うように存在する名湯上山田温泉。時代に置き忘れられてしまったかのごとき幽玄な趣を醸し出しながら。その温泉街の一角で、まるで一介の食堂のような佇まいで軒を構えるのが、この「大黒食堂」だ。「中華そばカツ丼大黒食堂」と書かれた看板を観ても、この店が屈指の名店と気付く人は皆無に近いに違いない。が、ここの「ラーメン」が超弩級の逸品なのだ!3種類の鶏ガラを駆使。ガラを煮込んだときに発生する鶏油も巧みに活用。これにチャーシューを煮込んだカエシを加えて完成するスープは、摩周湖のような透明度の高さ!一口啜ると、鶏の滋養味の厚さにまず驚愕。鶏がズドンと味覚中枢を直撃し、その後、甘味がジワジワっと神経を駆け上がってくる。ピロッとした中太麺はツルッと滑らかな食感が秀逸で、スープをドンドン拾ってきてくれる。カツ丼の名店でもあるので、チャーシューの水準の高さは言わずもがな。観光地の1杯とは明確に差別化されるべき孤高の名作だ。
麺屋 永吉 花鳥風月 [東京]
2011年4月15日に千葉県浦安から葛西へと移転オープンを果たした「麺屋永吉 花鳥風月」。言わずと知れた浦安を代表する名店であり、味は勿論、接客が丁寧なことでも有名だ。今回、私が紹介するのは「特製伽哩つけめん」!期間限定メニューとして登場したが、あまりもの評判の高さに定番メニュー化された旨のエピソードを有する、知る人ぞ知る傑作。つけダレはややスパイシー。カレーらしさを活かしながらも、ありがちな辛味による旨味のマスキング現象とは無縁!序盤、ベースのスープの素材から生じた淡い甘味を知覚。その後、スパイシーなカレーの風味がドドっと押し寄せる「2層櫓」のような構成だ。スープは鶏、豚などの動物系と節、煮干しなどの魚介系に野菜を加えて作られる超本格派!スープの地盤がしっかりしているからこそ、カレー頼みではない起伏、抑揚に富んだ味を出すことができる。麺は、つけダレにカメレオンのように同化する高加水率のものを使用。打ち出すべき箇所と抑制すべき箇所。それらのメリハリがしっかりと利いたカレーつけ麺のお手本のような1杯だ。
とんこつ屋台 暖家 [東京]
今回紹介するのは、趣味人の聖地「中野ブロードウェイ」の傍らに佇む「とんこつ屋台暖家(だんけ)」。「とんこつらーめん」と「ちゃんぽん」。2種類の麺メニューを引っ提げ、本年3月、ラーメン激戦区中野に堂々の参戦だ。両メニューともに上々の評判を博しているが、特に私が推奨したいのが本店の看板メニューである「とんこつらーめん」!見事なまでに白濁を来したスープは、豚骨を徹底的に煮込んでいることが一目瞭然。口に含むと、豚骨エキスのイノシン酸の旨味が渦を巻き、磁石のS極とN極のように、カエシの仄かな甘味とピタリと合体!サラリと清涼感がある喉越しを演出できている点も特筆に値する。このスープに合わせる麺は、低加水ストレート!博多ラーメンとしてはやや骨太な印象の麺を用い、茹で加減は、箸で持ち上げるとピンと背筋を伸ばす「アルデンテ」。低加水ならではのサクサクッとした噛み心地が実に軽快で、スープとの相性も絶佳。テンポ良く食べているうちに、思わず、魂が東京から博多へとテレポーテーション!具もキクラゲ、刻みネギ、チャーシューのみと、無駄な贅肉を削ぎ落としたかのようなシンプルさ加減。積極的に替え玉を頼んで、卓上のゴマや紅ショウガでカスタマイズ。スープを自分色に染めていく作業も、博多系ならではの妙味。都内屈指の本格派博多ラーメン!是非、一度体験してもらいたい