- 麺集長:
- この度は、お忙しい中お集まりいただき、有難うございます。今回は、ぐるなびラーメン特別企画『2010年ラーメン業界動向の総括と2011年のラーメントレンド予想』と題しまして、6名のラーメン界を代表する達人の方々にお集まりいただきました。今回お集まりいただいた皆さんは、ラーメン屋店主、ラーメン研究家、国家公務員、カップラーメンメーカー、雑誌編集者、フードファイターです。それぞれ、異なる視点からラーメンについて語ってもらえればと思いますので、よろしくお願いします。
淡麗系ブーム到来との予想とは裏腹に濃厚系、G系が勢いを増した2010年!?
- 麺集長:
- 2010年のラーメンの潮流はどのようなものでしたか?
- 田中:
- 今年は、年初1月にオープンした『NEW OLD STYLE肉そばけいすけ』を皮切りに、有名店のセカンドブランドが相次いで登場し、これらがおしなべて濃厚系、G系をフィーチャーしたことから、淡麗系よりも濃厚系、G系の活躍が目立つ1年になったような気がします。
- 石山:
- そうそう。名だたる有名店が、『肉玉そばおとど』、『麺屋宗 肉そば総本店』、『悪代官』などのセカンドブランド店を出しましたね。これらの店のラーメンは、肉の旨みがスープに溶け込んでいて、本当に美味しいですよね。
- 麺集長:
- 昨年末は『2010年は淡麗系がくる!!』と言われていましたが。
- 石山:
- 確かに、今年も『金字塔』、『本枯中華そば魚雷』、『昭和歌謡ショー』など、淡麗タイプのラーメンを出すお店は登場しましたけど、主流を占めるまでには至らなかったような気がします。
- 田中:
- 淡麗系でも『本枯中華そば魚雷』のような店主の独創性を持ち味とした新しいタイプのものと、『昭和歌謡ショー』のような昭和を思わせるオーソドックスなタイプのもの。両者が併存したのが今年の特徴ですよね。ただ、まだまだ、濃厚系、G系の人気は根強いものがあります。
- 跡部:
- 最近、濃厚系、G系の店が激増しており、毎日ラーメンを食べるラーメンフリークは、立て続けに出現する濃厚タイプに飽きているように見受けられましたが、一般的なラーメン好きは、まだまだ濃厚タイプを強く支持しています。だって、彼らは、たまにしかラーメンを食べないので、いつまで経っても濃厚タイプに飽きませんから。
- 田中:
- 不景気が続いており、なるべく安い値段でボリュームがあるものを食べたいという消費者のニーズも濃厚系、G系人気を後押ししているような気がしますね。
- 西尾:
- おっしゃるとおり。私の店でも、限定メニューとして二郎インスパイア系を出したことがあります。結果、当初の予測を遥かに上回る売れ行きで、すぐに品切れになってしまいました(笑)
- 木村:
- 濃厚系、G系は、味がわかりやすい上に、例えば、二郎の豚のように具に関しても強烈なインパクトを持ち合わせているものが多いので、とにかくハマりやすいんですよね。
- 麺集長:
- 女性の視点から捉えた濃厚系・G系の印象はどのようなものですか。
- 三宅:
- 女性は淡麗系しか食べないと思われがちですが、濃厚系、G系が好きな人も多いと思いますよ。やっぱり、木村さんがおっしゃるとおり、インパクトが強烈だから一度食べると癖になりますし。もちろん私は、野菜増しでも大盛でもペロリと平らげちゃいますけど(笑)。
2010年は、牛骨ブームが再来!?
- 麺集長:
- 今年は、牛骨ブームの再来ではないかと思うほど、牛骨ラーメンを出す店が増えたような気がしますが、皆さんはどのような印象をお持ちでしょうか。
- 石山:
- 私が最近出した『最新ラーメンの本』でも『牛骨維新』と題して牛骨ラーメンの特集を組みましたけど、確かにかなり増えた印象はありますね。例えば、『オーガニック・ラーメン道玄』、『香味徳』、『土曜の牛の日』、『牛骨らぁ麺マタドール』など数え上げればキリがないほどです。
- 田中:
- 牛という食材には、さっぱりとした口当たりを演出でき、鮮烈なコクが出せるという強みがあります。他の食材と較べて相対的に、食べ手に強烈な惹きを感じさせることができますからね。
- 西尾:
- そうなんですよ。ただ、一歩間違えると、牛は存在感が強すぎるため、魚介などの他の素材と喧嘩してしまう。作り手の立場からすると、牛を上手く使うのは結構難しいんですよ。
- 一同:
- なるほど。
- 麺集長:
- 他に牛骨に関してコメントはありますか。
- 石山:
- トッピングに関しても、チャーシューなどに牛を使ったものが目立ちましたね、今年は。西尾さんがおっしゃるとおり、牛の取り扱いは難しい。もう少し扱いやすくなったら、もっと流行りそうな気がします。
- 跡部:
- 牛って、スープに溶け込むと本当に美味しくなりますよね。
- 木村:
- 先日、『オーガニック・ラーメン道玄』で『チャーギュウ麺』をいただいたのですが、牛の甘味が全面に出ていて、確かに美味しかったです。
- 三宅:
- 皆さんの話を聞いていると、牛骨ラーメンを食べたくなってきちゃいました(笑)。
2011年は『チャーシュー』がなくなる!?『地産地消』の潮流が来る!?
- 麺集長:
- では、ここからは達人の皆さんに2011年のラーメントレンドを予想していただきます。2011年のラーメンを巡る動向はどのようなものになると思いますか。
- 石山:
- トッピングに変化があると思います。これまで長い間、ラーメンに当たり前に付いてきていた豚チャーシューに代わり、揚げ物を載せたり。2010年においても、既に『悪代官』などは、山賊揚げという鶏の唐揚げを載せたメニューを提供しています。
- 田中:
- 確かに、豚チャーシューを載せる店は徐々に減少していますね。特に新店に関してはその傾向が顕著です。今春あたりからの、朝食に軽めのラーメンを食べるという『朝ラーメン』の普及に伴って、素ラーメンを提供する店も増加傾向にあります。
- 麺集長:
- 他には、2011年のラーメントレンドで注目すべきポイントはありますか?
- 西尾:
- 最近の食べ手の健康志向の高まりを受けて、今年は、ラーメンの世界にも本格的に『地産地消』の波が訪れるのではないかと思います。自分が出すラーメンの素材は、自家製のものを使うとか。
- 跡部:
- 確かに、今年の11月に開催された『東京ラーメンショー』の参加店舗である『花の季』などは、麺、スープの素材からトッピングに至るまで、すべて自家製のものを用いていました。聞くと、お店の裏の畑で穫ったものを使っているとか。
- 木村:
- 地産地消が本格的な潮流になってくると、凄いことになりそうな気がします。特に西尾さんは、ラーメンへの探求心が並外れて強い方ですから、もし、実行に移されるのであれば面白くなると思いますね、個人的には。
- 三宅:
- 『西尾中華そば』が地産地消を実行されたら、確かにラーメンの世界に一大ムーブメントを巻き起こしそう!西尾さん、是非、牽引者になって下さい。
- 西尾:
- 御期待に添えるよう頑張ります!今年は、『凪』も日本の枠を飛び出し、香港に出店するなど、非常に充実した1年でした。これからもラーメンの活性化に少しでも貢献できるように力を尽くしたいと思いますので、来年もよろしくお願いします。
- 麺集長:
- そろそろ終わりの時間がきましたのでまだまだ話は尽きないと思いますがこの辺で座談会をしめたいと思います。本日は、貴重な時間本当にありがとうございました!!

取材協力店
【住所】東京都新宿区西新宿7-13-7 【電話番号】03-3365-0296
2010年7月10日リニューアルオープン。凪ブランドの都内5店舗目。えぐみのない濃厚煮干醤油をコンセプトに柔らかいチャーシュー、シャキシャキとした食感のタマネギのハーモニーを堪能できる。2階は、『NAGI NIKAI』として営業。